京都市電（N112号）移設工事

京都の大宮交通公園で一般公開されていました。京都市電（通称N電）の移設作業を行いました。車輌は明治45年に製造され京都市内を走行していました。昭和44年の大宮交通公園の開園に伴い移設してきました。そして今回大宮交通公園の再整備に伴い令和2年、交野市に移設を行いました。車輌の特徴としてはパンタグラフという屋根にとりつけて架線の電流を導き入れる装置がついておりそれを付けることで走行を行います。夜間での走行となりましたが、京都市から交野市に運搬されるにあたり、この電車が当時実際に走行していたルートも走行することができました。
今回の運搬・据付作業ににあたり、弊社では据付場所（ハピネスパーク交野霊園）の補強工事から始まりました。

電車の移設作業にあたりましてまずハピネスパーク交野霊園の橋の補強工事からスタートしました。H鋼と鉄板を使用し、橋　本体に荷重がかからないように組みました。失敗のないように何度も測定しに行き、勾配と距離の計算を行い、図面の作成を行いました。
また、近所にゴルフ場があり、昼間は道中がバスやお墓参りのお客様で混むため組立は工事は夜間に行い、組んだ日には朝から墓参りに来られたお客様が通れるように素早く、的確に施工を行いました。

トレーラーでの運搬にあたり、高さの制限がある為、電車上部に取り付けてあるパンタグラフの撤去を事前に16tラフタークレーンを使用し行いました。私は実際にパンタグラフを間近で見るのは初めてでした。

トレーラーへの積込作業を行いました。弊社の協力会社である株式会社日本サルベージサービスの60tラフタークレーンを傭車させていただき作業を行いました。
吊具はH鋼、カンザシ、チェーンブロックを用いることで水平にかつ電車に吊荷がかからないようになっています。走行は夜間に行う為積み込んだ後は現場で待機となりました。

積込を行った日の21時いよいよ据付場所ハピネスパーク交野に向けて出発です。
最初にも記載してありますが、偶然、当時この電車が走ったルートと今回通行申請を出したルートが同じでした！！京都の当時の街並み！とまではいきませんが、電車自体もいい思い出となったのかと思います。

残す作業はH鋼で補強した橋に進入と据付作業です。トレーラーが進入してくることもあり一般車両の動向を厳重に警戒しながら行いました。道中が狭い所なのでヘッドの部分がなかなかかわらずでしたが、誘導者の指示で細かな切り返しを行い、進入することが出来ました。

施主様をはじめ従業員様も大勢見に来られている中でいよいよ据付作業を行いました。据付に関しては弊社の25tラフタークレーンで行いました。
地切りを行い巻き上げの際は皆さん声が上がるぐらい興奮していました。

電車本体はレールの上に置いてあるだけの状況だった為、吊り具を外す前に仮の溶接を行いました。吊り具を外したのちに再度補強を行いました。

据付を行った日のお昼には足場が組みあがり、目隠しがされている状態ですので写真はありませんが、現在外装、内装を改修しており完成がとても楽しみです。
完成は10月頃で一般公開されるということですのでぜひハピネスパーク交野に足を運んでみてください。また完成しましたらこちらの方でも更新しようと思います。
今回の作業はメディアの方が来ていたり、夜間にも関わらず多くの電車が好きな方々が集まったりと注目を浴びるような重要な作業であったと実感しています。
京都市で皆様に愛されていた電車が次は交野市のハピネスパーク交野霊園で同じように愛され、一つのシンボルとなるように期待しています。
後に今回の作業の様子を産経新聞の新聞に掲載してくださっていますのでPDFにて載せさせていただきます。またyoutubeの方にも作業の様子であったり電車についての情報を動画であげてくださっていますので合わせて宣伝させていただきます。

2021年4月1日ハピネスパーク交野霊園にてN電（京都市電）のお披露目会へお招きいただきました。私は約半年ぶりにご対面しましたが内装、外装ともにとても綺麗になっていて感動しました。個人的にはくるっと回ったレールが銀河鉄道999みたいでかっこいいと思いました。これからも地域の方やお墓参りにこられた方などたくさんの人に愛される電車になってほしいと思います。